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弁護士の日記帳

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「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」 (村上春樹著・文藝春秋)

お気に入りの静かな音楽を聴きながら展覧会で名画を鑑賞している。そんな気分にさせるほど作品全体に色と音が溢れています。

単純明快で何の捻りもないストーリーでありながら、美しく内省的で、人が生きるという行為の有り様をどこまでも率直に、繊細に、立体的に表現しています。

色や音や形といったものと無縁の精神世界をこれほど見事に心象風景として具現化し形象できる作家は村上春樹を措いて他にはいないでしょう。

今回も主観的で抽象的なハルキワールドに嵌りました。 ハルキストとして納得の一冊です。

 

乱れなく調和する親密な空間は永遠には続きません。

世の中は常に動き続け、時が人を変えてゆきます。

調和的空間が弾け飛び、深い森に迷い込んでから16年。

36歳になった「多崎つくる」は、心の深奥に仕舞いこんだ傷の理由を知るための”巡礼”の旅に出ます。

アオとアカ、それにフィンランドにいるクロ。

今はそれぞれの人生を生きる高校時代の友人との再会を通して、たった一人色彩を持たない「つくる」は気付きます。

「すべてが時の流れに消えてしまったわけじゃないんだ」と。

 

「記憶をどこかにうまく隠せたとしても、深いところにしっかり沈めたとしても、それがもたらした歴史を消すことはできない」と語り、それがとても危険なことだと忠告する沙羅の言葉が作品のテーマを象徴しています。

16年の歳月を経て変わるものと変わらないもの、消えていくものと消えずに残るもの。「つくる」の心を通してこれらを描くことでハルキは、時の流れに対してあまりに脆く崩れ去る友情の儚さ、それと裏腹な関係にある友情の尊さや美しさを表現したかったのだと思います。

 

5つの方向から来たベクトルが高校時代に時空線を交え、その後、否応なくそれぞれ定められた方向に散っていきます。

人生を歩んで行くなかで、選択の余地などほとんどありません。

(アカが新人研修で、ペンチで剥がされるのは足の爪がいいか手の爪がいいかを選ばせるエピソードは象徴的です。)

しかし、絶妙な調和を記憶の深奥に沈めたとしても、時空線が交わった美しい歴史は変わりません。

お互いを傷つけるのも、そしてそれを癒すのも友情です。

アカ、アオ、クロとそんな関係で結ばれている「つくる」を羨ましく思います。

ひょっとしたら「つくる」は色彩を持たないのではなく、無数の色が交わってできた自然光の透明なのかもしれません。

 

シロやグレイやグリーンについて最後まで不明確なことが読後の爽快感を阻害しているようにも感じますが、それがかえって妙な余韻をもたらして効果的に作用しているというべきでしょう。

ふわふわとした浮遊感、雲をつかむようなあやふやさが読者の心を惹きつけてやまないハルキ文学の真骨頂なのですから。

(横井盛也)

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ショボ過ぎる簡易裁判所の建物

主戦場は事務所から徒歩1分の大阪地方裁判所(同じ敷地に大阪高等裁判所と大阪簡易裁判所もあります)なのですが、年に何回かは方々の簡易裁判所に出かけます。

先日も調停事件で某簡易裁判所に行ってきました。

私の知る限り、どこの簡易裁判所もよく似た建物で構造もほぼ同じなのですが、それが実に小さくてショボいのです。

たいがいは隣に区検察庁があり、こちらも貧相です。

地区の公民館か集会所といった感じで威厳も何も感じられません。

看板がなければ通り過ぎてしまいそうで、毎度到着すると拍子抜けしてしまうのです。

「えっ、これが裁判所?」

 

どこも過払い請求の案件で繁盛した数年前とは比較にならない程、今は閑散としているようです。

私が某簡易裁判所に行った日の午後には、調停が2件しか入っていないようでした。

 

比較的軽微な事件を対象とする簡易裁判所は、一般市民の利便性を考慮し、全国に438か所(大阪には12か所)に設置されているのですが、簡裁判事の多くは1人で複数箇所の裁判所の担当を掛け持ちしており、毎日開廷されているわけではありません。

交通機関の発達した大阪に関して言えば、12か所も必要なのか多少疑問で、個人的には、統廃合して立派な建物にした方がよいと思うのですが…

 

建物があまりに貧相で、到着時には「解決するの?」と不安を覚えるのですが、立派に機能を果たしています。

某簡易裁判所での調停は、調停委員の尽力で無事1回で当方の思惑通りの結果で決着がつきました。

(横井盛也)

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少子高齢化の問題を一気に解決する方法

漫画「サザエさん」に出てくる磯野波平さんが54歳と知って驚きました。

どう見ても70代後半でしょう。

私と5つしか年が離れていないなんて信じられません。

一昔前は、55歳で定年を迎え、その後は隠居ということだったのでしょう。

http://www.fujitv.co.jp/b_hp/sazaesan/sazaesan_cast.html

ちなみに私はいつも30代前半に間違われます。(#^.^#)

 

少子高齢化が急速に進み、社会に様々な問題を引き起こしています。

今後ますます問題は深刻化することでしょう。

問題解決のためには、ズバリ高齢者を減らすほかないと思います。

 

別に怖いことを考えているわけではありません。

「人口の上位20%を高齢者とする」と定義を変えればよいのです。

そうすれば全人口に占める高齢者の比率はいつの時代でも一定です。

 

70歳でも80歳でも元気な人は本当に元気です。一昔前の70歳、80歳とは比較になりません。

一律に65歳以上を高齢者とするとか、75歳以上を後期高齢者とするなど年齢で定義するから問題が起きるのです。

人口構造がいびつなのは、時代の試練です。

試練を乗り越えるためには、高齢者の定義そのものを変えるほかありません。

(横井盛也)

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