弁護士のブログ | 横井盛也法律事務所 | 迅速、丁寧、的確な大阪の法律事務所

弁護士の日記帳

ブログトップページ > 横井弁護士 > 弁護士会照会-今こそ最高裁は判例変更を

弁護士会照会-今こそ最高裁は判例変更を

名古屋高裁は先月26日、日本郵便が転居先住所に関する弁護士会照会の回答を拒否したことは違法として、名古屋地裁判決を変更し、同社に1万円の損害賠償を命じる判決を下しました。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201502/2015022600049

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG26H6F_W5A220C1CR8000/

 

その一方で、大阪高裁は昨年8月28日、税理士が弁護士会照会に応じて納税義務者の確定申告書等の写しを提供したことが不法行為を構成するとして、請求を棄却した京都地裁判決を変更して当該税理士に35万円の賠償を命じる判決を下しています(判時2243号)。

 

簡単に言えば、京都地裁と名古屋高裁が弁護士会照会に応じるべきとしたのに対して、名古屋地裁と大阪高裁は応じるべきではなかったと判断したわけです。

 

弁護士法23条の2は、訴訟等で必要な情報を得るため、弁護士会が弁護士の申出に基づき、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができると規定しています。(通称「23条照会」です。)
弁護士会照会は、紛争を適正に解決するための公益目的の制度です。
照会を受けた団体は、法律上、報告・回答する公的義務を負います。
条文に回答拒絶ができる場合についての定めはありません。

 

制度の悪用など絶対にあってはならないのであって、そのリスクが回答拒絶の理由になるはずなどありません。
悪用防止は弁護士や弁護士会が責任をもって対処すべきです。
社会正義実現の利益がプライバシー侵害の不利益を超えていると判断される場合に照会がなされるのであり、照会を受けた団体に実質的な利益衡量を求めたり、許したりすべきではありません。

 

しかしながら、最高裁昭和56年4月14日判決(判時1001号)は、報告義務は絶対的なものではないと解釈し、区長が同照会に応じて前科及び犯罪歴を報告したことが違法な公権力の行使にあたるとしてしまったのです。
この最高裁判決によって、その後どれほど多くの事件の適正解決が阻害されてきたことか。
弁護士であれば誰しも回答拒絶という悔しい思いを1度や2度は経験しているのではないでしょうか。

 

大阪と名古屋の高裁、地裁の判断が割れた今こそ、この判例を塗り替える最高裁判決が期待されるところです。
(横井盛也)

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

にほんブログ村
↑↑↑ ポチっ。↑↑↑