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政治家に期待すること

衆議院選挙を来月に控え、各政党が公約を発表しています。

政党間の離合集散が行われ、消費税、TPP、原発、国の制度改革等々についての議論がそれなりに深まっているように思いますが、明快な視界を開いてくれる議論がなされていないことに幻滅しています。

候補者らは、この国が、はたまた世界が今どのような問題に直面しているのか正しく認識できているのでしょうか。

この国をどのようにしたいと考えているのでしょうか。

 

「ものづくり大国」の根幹を支えてきたメーカーをはじめ、多くの企業で大規模なリストラが行われ、失業者や生活保護受給者が増加しています。

自己実現の場がなくなるということは、それ自体不幸なことですし、失業者があふれる社会は、消費力を低下させ、生産性を上げれば上げるほど利益が得られなくなるという負のスパイラルに陥ります。

 

20世紀後半からのIT革命により、生活は豊かで便利になったように思えますが、本当に幸福になったと手放しで喜んでいてよいのでしょうか。

コンピュータ制御で工場労働者は激減し、ATMやネットバンキングの普及で銀行窓口の係員の数も減りました。ICOCAやPiTaPaの普及で駅員の数は減っていますし、パソコンによる事務の省力化で人手に頼っていた多くの仕事が失われています。

IT技術が人間の生産性を上回り、失業者をどんどん生み出し続けているのです。

 

私は、我が国や先進諸国は、18世紀の産業革命後の大量失業者時代とよく似た状況下にあるのだと思います。

産業革命及びその後の科学技術の急速な進歩は、大量失業者を生むという負の側面があったにせよそれを乗り越え、我々の社会を豊かなものに進化させました。

IT革命も負の側面を乗り越え、人が真に幸福になるためのシステムづくりが急務です。

(アダム・スミスの「見えざる手」は、稀少な財の配分には有効ですが、財が溢れている局面ではうまく機能しませんので政治の介入が必要です。)

 

18世紀の産業革命後の負のスパイラルを断ち切ったのは、欧米列強の植民地獲得競争でした。

しかし、法と正義が支配する現代のグローバル社会で通用する手法ではありません。

ではどうすればよいのでしょうか。

 

大局的見地から現状を正しく認識したうえで、生産と消費を拡大し、失業者を減らすための目の覚めるような政策を説く政治家の出現を期待しています。

(横井盛也)