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司法試験の受験回数制限について

司法試験の受験回数が、「法科大学院修了または予備試験合格後5年以内に3回まで」とされていることについて、制限を撤廃ないし緩和すべきとの意見も多いようです。

 

しかし、私は、「5年以内に3回まで」という部分については、絶対に維持すべきだと思います。

司法制度改革において、唯一成功した改革は、この受験回数の制限であるとさえ考えています。

 

かつての旧司法試験は、受験資格に制限はありませんでした。

法務省の資料(トップ>審議会等>その他会議>法曹養成制度検討会議>第6回会議>事務局提出資料)によると、例えば、平成16年(2004年)の司法試験の出願者は49,991人で合格者は1,483人。合格率は3.0%でした。

そして、合格者の受験期間で最も多いのは、「3年目」と「10年目以上」が拮抗して約250人ずつ、次いで「4年目」と「5年目」が約200人ずつ、そのあと「6年目」、「7年目」、「8年目」、「9年目」と続いて「1年目」はほんの僅かです。

 

つまり、約5万人もの受験生が合格率3%程度のバクチのような試験のために、長期間、猛烈な試験勉強をしていたのです。

そして、大半の受験生は、挫折と失望を経験し、結局報われなかったのです。

就職の機会を逃した人、あるいは結婚・出産の機会を逃した人なども多数いたに違いありません。

 

並大抵の努力で10年以上も受験勉強を続けることはできません。

20代や30代の1年は貴重です。80代、90代の数年分に匹敵する価値があるかもしれません。

勉強したくてしているのだから本人の自由と言ってしまえばそれまでのことですが、多くの有為な若者が、本来、社会に貢献することで自己実現を図り、社会経験を積んで大きく成長すべき青春時代を受験勉強に費やすことの社会的損失は、決して無視することはできないと思います。

 

10年目に合格するのであれば、1年目に合格させた方が、本人にとっても社会にとっても、ずっと有益です。

10年目に合格した人よりも3年で諦めた人の方が優秀だったかもしれません。

10年以上も受験勉強を続けて結局合格しなかった人は、もっと早期に諦めて転進した方が幸せだったといえるのではないでしょうか。

 

受験回数を制限すれば、ベテラン受験生は存在しなくなり、受験者数が減ることの恩恵を全員が平等に受けることになりますし、早期の転進も図りやすくなります。

現に、受験回数が制限されてからは、「1年目」の合格率が最も多く、年数が増えるに従って合格率は低下しています。

「6年目」以降は存在せず、否応なしに転進が可能となる仕組みです。

 

こんな理由で、私は、「5年以内3回まで」の制限は絶対に堅持すべきだと考えています。

なお、「法科大学院修了又は予備試験合格」を受験資格とすることについては、いろいろと思うところがあるのですが、また別の機会に書きたいと思います。

(横井盛也)
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