弁護士のブログ | 横井盛也法律事務所 | 迅速、丁寧、的確な大阪の法律事務所

弁護士の日記帳

ブログトップページ > 横井弁護士 > 法科大学院改革論

法科大学院改革論

法科大学院の評価が芳しくないようです。

法科大学院廃止論、旧司法試験復活論、予備試験拡充論などが台頭していますが、私は、法科大学院改革論者です。

 

法科大学院修了を司法試験の受験資格とすること自体、何の問題もありません。

充実したカリキュラムで法律の本質を学者や実務家らからしっかりと学び、同じ志を持つ学生の間で切磋琢磨することは意義のあることだと思いますし、法曹を目指す者にかかる経験を要求することは決して不当なことではないと思います。

旧司法試験の復活や予備試験の拡充をすれば、かつてのように予備校の論証を丸暗記して知識を吐き出すといった偏った勉強を何年も続ける孤独な受験生を大量に発生させてしまうことでしょう。

 

法曹の質を保障するためには、司法試験の合格者数を絞ればよいのです。

毎年の合格者数が500人の時代と2000人の時代で合格者のレベルが異なることは当然であり、合格者のレベルが下がったのが法科大学院の教育のせいだという議論は成り立ちません。

司法試験(及び2回試験)の合格者数をどの程度にするべきかという議論と法科大学院の存廃の議論をリンクさせる必然性はありません。

法科大学院を存続させても修了認定を厳格に行い、司法試験の合格者数を絞れば、所期のレベルは保てるはずです。

また全員が就職できる(ボスの下で修業が積める)という程度の合格者数に絞れば(さらに給費制を復活させれば)、安心して法科大学院を志望することができ、結果として法曹を目指す者の数も増えると思います。

 

問題は、その法科大学院のありようです。

 

法科大学院の修了認定基準がバラバラで、司法試験受験資格の付与に著しい不平等が生じていることは看過できません。

各校共通の修了認定の基準を例えば「修了者に対する司法試験合格者の割合が何割以上になるレベル」と定め、それに満たない法科大学院の認可を取り消すといった方法で司法試験受験資格の平等化を図る必要があります。

 

また、法科大学院は、法律実務家を養成する場に徹するべきです。

数年間は試験合格を目指して必死になって覚えるべきことを覚え、書いて書いて書きまくるほどの大量の起案をして基礎力をつける時期が必要です。

<合格するまでは合格するための勉強に専念する>といったストイックな環境を提供するのが法科大学院の使命なのではないでしょうか。

法社会学や比較法文化論などといったものは試験後に独学すればよいと思いますし、法曹倫理は合格者を対象に司法研修所で学ばせるべき内容だと思います。M&Aや保険法なども実務についてから学べばよいと思います。

法曹三者の実務で必要なのは、基本的な法律の知識と起案力だというのが実感です。依頼者の言いたいことや考えたことを論理的、説得的に文章化できなければ仕事になりません。

教科書的知識の確認のためのソクラテスメソッド、学生の発表に対する学生間の質疑応答、文章を書くのは試験の時だけ、といった方法を改め、法科大学院は、基礎的な科目の起案中心のカリキュラムに変えるべきです。

 

私は、法科大学院の修了認定を厳格にし、教育内容を基礎科目の起案中心に変えれば、予備試験の拡充や旧司法試験の復活よりずっとよい法曹養成の仕組みが出来上がると確信しています。

(横井盛也)

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
↑↑↑ よろしければクリックを。