弁護士のブログ | 横井盛也法律事務所 | 迅速、丁寧、的確な大阪の法律事務所

弁護士の日記帳

ブログトップページ > アーカイブ > 2013-05

司法試験「5年で5回」――甘すぎる座長試案

政府の「法曹養成制度検討会議」の会合で、司法試験の受験回数制限を法科大学院の修了後5年間で3回から5回に緩和する座長試案が示されたとのこと。

法曹養成制度そのものが崩壊しつつある中、小手先の改革で何とかなるとでも考えているのでしょうか。

驚きです。現状に対する認識が甘いというほかありません。

 

受験回数制限を設けることについては、以前にブログで書いたように大賛成です。

http://www.law-yokoi.com/blog/?p=543#trackback

http://www.law-yokoi.com/blog/?p=568#trackback

http://www.law-yokoi.com/blog/?p=585#trackback

3年間で3回くらいの方がよいと思いますが、5年間で5回に緩和したとしても、それはそれでよいでしょう。

今はそんな議論が吹っ飛んでしまうほどの緊急事態です。

 

法曹を目指す若者が急減し、法科大学院の人気が急落しているのは、弁護士が既に飽和状態で、司法試験に合格しても就職できる保証がなく、安定的な収入が見込めないからです。

旧司法試験は2~3%程度の合格率でしたが、法曹を目指す人は数多くいました。

現行制度の欠陥は、すべて司法試験の合格者数が不適正であることに端を発しているのだと思います。

 

ペーパーテストが得意であれば弁護士の仕事ができるなどというのは幻想に過ぎません。

ボスの下で年がら年中、朝から晩まで仕事を学んで一人前の弁護士になっていくのです。

最低限、法曹資格を得た弁護士志望者がボス弁の下で安定した収入を得ながら修業ができる程度にまで合格者を絞るべきです。

法科大学院へ支出する補助金があるなら、司法修習生への給費制を復活すべきです。

 

政治的責任を負わない有識者会議や諮問会議が国の制度の根幹にかかわる事項について実質的決定権を握っていることに疑問を感じます。

(横井盛也)

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

にほんブログ村
↑↑↑ ポチっ。↑↑↑

  • コメント (Close): 0
  • トラックバック (Close): 0

英語教育の強化は必要ですか?

仕事で英語を使う機会はほとんどありません。「私は英語が苦手です」

ひがみかもしれませんが、英語なんか喋れなくても生きていけます。

裁判所法74条には「裁判所では、日本語を用いる」とあります。

 

政府の教育再生実行会議は、国際化に対応するため、現在小学校高学年で行われている英語教育について、正式な教科にすることや開始学年を引き下げることなどを求める提言案をまとめたとのこと。大学の国際化に対応するため、入試や大学卒業認定にTOEFLを活用することなども検討されているようです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130518/k10014667531000.html

 

確かに英語ができる人はかっこいいと思いますし、英語ができれば仕事の幅が広がったかもしれません。

でも、英語ができても何の役にも立たない時代が近い将来訪れるのではないか、と思うのです。

 

先月、コンピューターの将棋ソフトがプロ棋士に勝ちました。

衝撃だったのは、将棋ソフトが勝ったことではなく、ソフトが「機械学習」という技術を手に入れたことです。

次の手の結果をしらみ潰しに検索して指し手を決めるのではなく、ストックされた過去のプロ棋士の棋譜を基に指し手の価値を認識し、さらにその評価を少しずつ自動的に調整する手法です。

この「機械学習」によって、翻訳、画像認識、音声合成などの分野でコンピューターの精度が飛躍的に向上しています。

そう遠くない将来、日本語で話をすれば、ニュアンスの細部に至るまでほとんど正確に英語で話をしてくれる高性能の機器が開発されても不思議ではありません。

 

フランスには「仏語使用法」があり、公共の場でのフランス語使用を義務付けており、外国語による授業は語学学校や外国人向け学校、外国人教員の授業などの例外に限定しています。

http://www.netlaputa.ne.jp/~kagumi/prive/toubon.html

これは、ちょっとやり過ぎだと思います。

フランス国内でも、現在法改正について議論が沸騰しているようです。

 

グローバル化に対応するため英語教育の強化も必要なのでしょうが、行き過ぎはよくありません。

ほどほどにして国語教育の充実にも力を入れるべきだと思うのですが、いかがでしょうか?

(横井盛也)

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
↑↑↑ ブログランキング参加中です。よろしければクリックを。

 

裁判員裁判から除外。プロの裁判官は安全なのか?

暴力団員が社長を銃撃した事件で、検察が「裁判員に危害が及ぶおそれがある」として、裁判員裁判を行わず、裁判官だけで審理をするように裁判所に請求したとのこと。請求が認められれば、全国で2例目となるそうです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130514/k10014564691000.html

 

裁判員裁判法3条には、裁判員等の「生命、身体若しくは財産に危害が加えられるおそれ又はこれらの者の生活の平穏が著しく侵害されるおそれがあり、そのため裁判員候補者又は裁判員が畏怖し、裁判員候補者の出頭を確保することが困難な状況にあり又は裁判員の職務の遂行ができずそれに代わる裁判員の選任も困難であると認めるとき」は、裁判員裁判の対象から除外することができると規定されています。

 

裁判員に危害が及ぶおそれがあるというなら、裁判官にも、検察官にも、そして場合によっては弁護人にも危害が及ぶおそれがあるというべきです。

一般市民である裁判員を危険にさらすわけにはいかないが、プロの法曹にとっては、危害が及ぶおそれを職業的リスクとして甘受すべきということなのでしょう。

 

裁判員裁判法1条には、「国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続きに関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ、…」とあります。

上記のような事件を裁判員裁判で審理すれば、危害が及ぶリスクを抱えながら日々仕事をしている裁判官らに対する国民の信頼の向上につながると思うのですが…。

 

ただただ犯罪のない安全で平和な世の中になることを祈るばかりです。

(横井盛也)

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

にほんブログ村
↑↑↑ よろしければクリックを。

日本国憲法改正について 5

憲法9条1項の戦争放棄や平和主義は、今や世界中の国々の憲法に謳われており、普通の国の一般的な常識です。

多大な混乱を引き起こし続けているのは、9条2項「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」の部分です。

 

自衛権すら否定したと主張する護憲派もいますが、独立国家が自衛権を持つことは当然のことです。下記の憲法制定の経緯に鑑みても1項の目的を達成するため、つまり国際紛争を解決するための戦力不保持や交戦権を否定したと解釈すべきことは明らかです。

同項を改正して不毛な議論に終止符を打ち、名実ともに日本も普通の国になるべきなのではないでしょうか。

 

マッカーサーは、1946年(昭和21年)2月3日、GHQ民政局長ホイットニーに「マッカーサー3原則」(マッカーサー・ノート)を示し、日本国憲法草案を作成するよう命じました。その第2原則。

「War as a sovereign right of the nation is abolished.

Japan renounces it as an instrumentality for settling its disputes and even for preserving its own security. ……

No Japanese army, navy, or air force will ever be authorized and no rights of belligerency will ever be conferred upon any Japanese force.」

邦訳すると

「国家の主権としての戦争は廃止される。

日本は、紛争解決の手段としての戦争だけでなく、自国の安全を維持する手段としての戦争さえも放棄する。……

日本が陸海空軍を保有することは、将来ともに許可されることがなく、日本軍に交戦権が与えられることもない」

つまり、マッカーサーは当初、日本の自衛権を否定するつもりでした。

 

しかし、2月12日に完成したGHQ草案では、

「国民ノ一主権トシテノ戦争ハ之ヲ廃止ス他ノ国民トノ紛争解決ノ手段トシテノ武力ノ威嚇又ハ使用ハ永久ニ之ヲ廃棄ス

陸軍、海軍、空軍又ハ其ノ他ノ戦力ハ決シテ許諾セラルルコト無カルヘク又交戦状態ノ権利ハ決シテ国家ニ授与セラルルコト無カルヘシ」であり、

「自国の安全を維持する手段としての戦争さえも」の部分が削除されています。

民政局運営委員長ケーディスが自衛権を認めないのは現実的ではないと削除を主張し、マッカーサーがこの修正を黙認したとされています。

 

そして6月25日に衆議院に上程された政府案の9条2項は、

「陸海空軍その他の戦力は、これを保持してはならない」でした。

これに芦田均(後の首相)が委員長を務める小委員会が「前項の目的を達するため」の文言を入れる修正案を出し、成立します。

自衛のための戦力の保持が許されることを明確にしたのです。

 

ところが、この芦田修正に極東委員会が反応し、文民条項を要求します。

そこで、貴族院における修正により、66条2項「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」が追加されることになったのです。

 

 

自衛隊は、「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする」(自衛隊法3条1項)とされ、立派にその任務を果たしています。

英語表記はこれまでもずっと「Japan Self-Defense Forces」、邦訳すれば「国防軍」です。

 

日本を軍事国家にするためではなく、現実に即したものにするための憲法9条の改正が必要です。

私は、心から日本のそして世界の平和を願っています。

(横井盛也)

 

※国立国会図書館の電子展示会「日本国憲法の誕生」のウエブサイトで憲法制定過程における数多くの貴重な資料が公開されています。

http://www.ndl.go.jp/constitution/

 

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

にほんブログ村
↑↑↑

いつもクリックありがとうございます。

  • コメント (Close): 0
  • トラックバック (Close): 0

統計学で誤りが判明した野球の打順の常識

野球の打順のセオリーは概ね次のとおりなのだと思います。

1番:足が速くて出塁率が高い。

2番:送りバントが上手く、進塁打が打てる。

3~5番:打力のある選手、特に4番はホームランを打てる長距離砲。

6~8番:上位打線に入れなかった打者。

9番:打撃が期待できない投手

 

ところが、統計学的には、これが誤りなのだそうです。

東海大学理学部情報数理学科の鳥越規央准教授がセイバーメトリクスという統計学的手法を用いて最も高い得点が期待できるオーダーを分析したところ、「最強打者は2番、もしくは4番に置く」、「1番・3番は出塁を心掛け、2番・4番は出塁だけでなく、長打が打てる選手を配置する」、「1番に足の速い選手を置く必要はない」、「単打が多く足の速い打者は下位に並べる」のが最適解になったというのです。

 鳥越准教授の著書「本当は強い阪神タイガース――戦力・戦略データ徹底分析」(ちくま新書)の受け売りです。

 

これまでは、1番が塁に出て、2番が送って、3~5番がヒットを打って走者を還すという夢のシナリオを描いていただけで、もし1番が出塁しなかったらとか、1~5番で得点できなかったら、といったことに目を向けない空想的なオーダーに過ぎなかった、ということではないでしょうか。

鳥越准教授は、前記著書の中で2012年のデータ等を基に2013年の阪神タイガースの期待得点値が最も高くなるベストオーダーを紹介しています。

「鳥谷→福留→新井良→西岡→新井貴→マートン→大和→藤井→投手」

少し意外でした。

 

5月9日現在、阪神は巨人と2.5ゲーム差の2位。

チーム打率、チーム防御率はセ・リーグで1位です。

和田監督が上記の本を読んでオーダーを組めば、もう「鬼に金棒」、いや「トラに牙」です。

 

なにはともあれ、今年こそ阪神優勝や! 頼んまっせ和田さん。

(横井盛也)

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

にほんブログ村
↑↑↑ よろしければクリックを。

次ページへ »