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弁護士の日記帳

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日本国憲法改正について 6

日本国憲法は「不磨の大典」ではありません。

誤字すら散見され、だぶった条文も少なくありません。

国家の最高法規としては、あまりに杜撰です。

修正されずに放置され続けていることを恥ずかしく思います。

 

例えば、

7条に列挙された天皇の国事行為の4号に「国会議員の総選挙の施行を公示すること」とありますが、「国会議員の総選挙」は存在しません。

「衆議院議員の総選挙及び参議院議員の通常選挙」と改めるか「総」を取って「国会議員の選挙」としなければ誤りです。

 

60条1項に「予算は、さきに衆議院に提出しなければならない」とありますが、正しくは「予算案」です。

細かい点をいえば、「さきに」も「先に」と改めるべきでしょう。

 

65条に「行政権は、内閣に属する」とありますが、内閣から独立した人事院や公正取引委員会などの独立行政委員会の根拠を明記し、「行政権は、この憲法に定める場合を除き、内閣に属する」と改めるべきです。

 

11条には「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる」とあり、

97条には「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」とあります。

同じ内容の条文が2つもあり、ダブっています。

 

8条の「皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基づかなければならない」と

88条の「すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない」

も1つの条文にまとめるべきでしょう。

 

これだけみても、占領下において8日間で作られた憲法を施行から66年の議論を経た後に改正することは理にかなったことだと思います。

 

(横井盛也)

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刑の一部執行猶予

一部執行猶予判決が可能となる刑法の改正法が今国会で成立し、3年以内に施行されることになりました。

近い将来、「懲役3年。うち1年を2年の保護観察付の執行猶予とする」といった判決が出されるようになります。

 

これまで薬物事犯などでは、初犯の場合には求刑通りの懲役を宣告したうえで執行猶予を言い渡し、再犯の場合には求刑の7割程度の期間の実刑判決を下すというのが相場でした。

執行猶予判決か実刑判決かで処遇に雲泥の差があったことを思えば、より実情に即した中間的な判決が可能になるという点で意義のある改正だと思います。

 

とはいっても、重罰化の流れの中にある改正ということもできるでしょう。

今後は初犯者でも多くの場合、刑務所に収容されるはずです。

再犯者では刑務所収容期間が短縮されたとしても、その後の保護観察付執行猶予期間を合わせると監視期間は長くなります。

 

これまで初犯者の多くが執行猶予判決となっていたのは、短期自由刑の弊害を回避するというのが大きな理由とされてきました。

つまり、短期間であれ刑事施設に収容されれば、社会との関係が切れてしまうことにより社会復帰が難しくなってしまうこと、場合によっては刑事施設内の悪風に感染してしまう可能性もあること、前科者というラベリング効果により立ち直りが困難になることなどの弊害を避ける意味があったのです。

 

今後は、裁判所が判決時に,上記弊害を考慮に入れつつ全部執行猶予にするのか一部執行猶予にするのか、後者の場合は、さらに実刑期間と社会内処遇期間をどうするのかを判断しなければならなくなります。

弁護人の情状立証の重要性は増し、その責任はより重いものとなるはずです。

 

ところで、2012年版犯罪白書によると、2011年の一般刑法犯の再犯率は過去最悪の43.8%で、15年連続で悪化しています。

2度と犯罪をしないと決意して刑務所を出ても仕事や居場所を見つけることができず繰り返し犯罪に手を染めてしまう人が多いことは、刑事弁護活動をする中で実感しています。

再犯防止のためには、更生支援策を充実させていくことのみならず景気回復により皆が働ける社会にしていくことが必要なのだと思います。

(横井盛也)

 

 

刑法第27条の2から第27条の7が新設されます。参考までに、

刑法27条の2

次に掲げる者が三年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けた場合において、犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、再び犯罪をすることを防ぐために必要であり、かつ、相当であると認められるときは、一年以上五年以下の期間、その刑の一部の執行を猶予することができる。

①   前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

②   前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その刑の全部の執行を猶予された者

③   前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

 

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プロ野球の飛ぶボール――あえてNPBを弁護する

日本野球機構(NPB)がプロ野球で使う「統一球」を今季から飛びやすい仕様に変えていたことを公表していませんでした。

飛ぶボールへの変更がわかっていれば、ホームランバッターを揃えるなど各チームの編成も変わったはずです。

変更を否定し、メーカーに口止めまでしていながら、コミッショナーが変更自体を知らなかったという点に関しては、弁護のしようがありません。

機構のコンプライアンスやガバナンスには問題があったのでしょう。

事前に公表していれば何の問題もなく、むしろ歓迎されたはずと思われるだけに残念でなりません。

 

でもマスコミは騒ぎ過ぎではないでしょうか。

NHKがニュースウォッチ9のトップで長々と伝えなければならないようなニュースなのでしょうか。

会見で述べた「不祥事とは考えていないので辞任はしない」との文言を殊更に強調し、加藤コミッショナーが大悪人であるかのような印象を与える報道に違和感を覚えたのは私だけではないはずです。

 

そもそも「統一球」は、加藤コミッショナーの肝煎りで一昨年から導入されたものです。

それまでは、球場によって使用するボールが異なっていたのです。

公平性に問題があるといわれながら放置されていた問題を解決したのが加藤コミッショナーなのですから、その功績は極めて大きいといえるでしょう。

今回のNPBの対応が批判されるのであれば、3年前までプロ野球のボールが統一されていなかったことの方がより批判されてよいはずですし、統一されていないことの問題点を指摘してこなかったマスコミも批判されてよいはずです。

 

ところで、飛ばない統一球になってこの2年間、しらけた試合が増えてしまいました。

「0対0」の引き分けとか「1対0」の試合なんて、大半が投手と捕手のキャッチボールに過ぎません。

野球は点の取り合いに醍醐味があり、ボールは飛べば飛ぶほど面白くなるのだと思います。

NPBはファンのことを考え、プロ野球の発展のために反発係数を上げたのでしょう。その動機に不純な点はありません。

 

今回の件の批判はこのくらいにして、今度は事前に公表の上で、反発係数をドーンと上げたガンガンに飛ぶボールに変更するということでいかがでしょうか?

(横井盛也)

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外れ馬券の経費算入――検察が控訴

大阪地検が外れ馬券の購入費の必要経費算入を認めた大阪地裁判決を不服として、大阪高裁に控訴したとのこと。

課税制度の根幹にかかわる判断ですから、控訴は当然のことだと思います。

 

「外れ馬券を必要経費に算入できる」と地裁が判断したのは、今回は、競馬予想ソフトに独自の40項目の条件を設定して馬の組み合わせや購入額を決める計算式を作成し、毎週末、中央競馬のほぼ全レースの馬券を3年間で約28億7000万円も自動購入していたという特殊なケースだったからです。

つまり、地裁は、今回のケースに限り、競馬の配当を偶発的な一時所得とはせず、むしろ先物取引などに近いという実態を捉えて雑所得と判断したということであり、その判決の射程は決して広いものではありません。

 

ところが、どの程度であれば雑所得になるのか、判決の射程判断はそう簡単なものではありません。

「外れ馬券は必要経費に算入できるか?」

答えは「YES」でも「NO」でもありません。

法律の条文や判例は、一問一答ではありません。

様々な事情が一つ一つの事件の背景にあるのです。

 

いっそのこと、競馬の配当を宝くじのように非課税にするよう法改正をした方がよいのではないでしょうか。

税収を確保する必要があるのであれば、配当率を下げれば済みます。

少なくとも、現在のように申告に任せるのではなく、配当金払戻時に税金を差引くというように法改正をすべきです。

 

現行の申告納税制度は複雑に過ぎます。

性善説に基礎を置くならば、できるだけ単純明快な制度を目指すべきだと思います。

 

参考までに、↓↓↓

http://www.law-yokoi.com/blog/?p=683

(横井盛也)

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