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弁護士の日記帳

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弁護士会の正常化が必要 - 「打倒!弁護士会」の運動が起こる前に

日弁連会長は、安全保障関連法案が衆議院で可決されたことについて、記者会見で「大変遺憾であり残念だ。国民の多くが『問題がある』と指摘するなか、数の論理で採決したことに非常に強い怒りを覚えた」とか、「さまざまな集会やパレードをして反対の立場を市民に訴えていくほか、与野党を問わず国会議員への要請を強めて廃案を求めていきたい」と述べたようです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150724/k10010165351000.html

 

日弁連会長は安保関連法案について、7月9日、国会内における集会で、日本共産党、民主党、維新の党、社民党、生活の党の党首、幹部らを前に「安保法案は採決することなく、いったん廃案にすべきだ」などとあいさつし、請願署名を手渡し、各党首らとともに廃案への決意表明をしています。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-07-10/2015071001_01_1.html

 

これらを政治活動と言わずに何を政治活動というのでしょうか。
日弁連会長は、政党の党首にでもなったつもりでいるのでしょうか。
弁護士会を与党と対決する政治活動団体と考えているとしか思えません。

 

私が愛読しているブログ「黒猫のつぶやき」さんが、

<弁護士を「右傾化」させる事情>と題して興味深いことを書いていらっしゃいます。
http://kuronekonotsubuyaki.blog.fc2.com/blog-entry-1118.html
<「バカ左翼」に牛耳られる弁護士会>の小見出し部分。
現実を正しく射抜いており、感心したので引用させていただきます。

 

【日本の司法試験は,個人の思想・信条を問うような試験ではないので,弁護士になった人の政治的思想・信条も,右から左まで様々な人がいます。しかしながら,伝統的に日弁連や東京・大阪などの大規模単位会で執行部を握っていたのは,筋金入りの「左翼」を自称する人たちです。

なぜ弁護士会の執行部が「自称左翼」ばかりで占められるようになったのか? 答えは簡単です。一言で表現すれば,「自称左翼」以外,進んで弁護士会の執行部をやろうとする人がほとんどいなかったからです。

東京大学の教養学部では,日本共産党の青年組織である「日本民主青年同盟」(民青)の同盟員が学生自治会の執行部を握るという時代が長く続きましたが,別に東大教養学部に民青の学生が多かったからではありません。民青と一部の新左翼,ごく一部の物好きな人を除いては,誰も好んで自治会執行部の仕事などやろうとしなかったからです。弁護士会についても,おそらくこれと似たような現象が起きていたのだと思います。】

 

【日弁連や東京・大阪など会員数の多い単位会では,会長・副会長などの要職はやりたい人がやれば済むところなので,会員の総意を離れた極端な「自称左翼」が執行部の大勢を占めるという結果になってしまったのではないかと思われます。】

【彼らはいずれも,弁護士会で行う左翼的活動こそが弁護士の本質であり,依頼者から報酬を受け取って行う業務は,左翼的活動を支えるための経済的基盤に過ぎないという奇妙なイデオロギーを共有しており,「戦争法案反対」といった弁護士会の左翼的活動と,それを支えるための強制加入制度は,彼らにとって「絶対に守らなければならない」ものなのです。】

 

「黒猫のつぶやき」さんの言うとおりだと思います。
『基本的人権を擁護し、社会正義を実現するために誠実に日々の職務を行っている圧倒的多数の普通の弁護士』は、『弁護士会の左翼的活動こそが弁護士の本質と考え、狂信的に弁護士会活動を行うごく一部の弁護士』についていけないのです。
大多数の弁護士は、自分の仕事を犠牲にしてまで弁護士会活動に取り組もうとは考えませんし、ましてや会長や副会長といった多忙な要職に就こうとも考えません。
一部の特定イデオロギーを持った少数の集団に組織が牛耳られるというのは、自治的組織の宿命なのかもしれません。

 

その中で大阪弁護士会に至極まともな副会長がいることを知りました。
http://ameblo.jp/ytsuchitani/entry-12054695118.html
土谷喜輝副会長は、自身のブログで【もちろん、個人的な意見であり、弁護士会の意見ではありません。】と断ったうえで、【個人的には、限定的な集団的自衛権の行使は容認すべきであり、そのことも含めて憲法は改正すべきと考えています。今回の安保法制は、過程に問題はありますが、少なくとも、これらを戦争法案と呼ぶつもりもありません。】などと書いていらっしゃいます。
砂漠の中のオアシスのようです。
【閣議決定による解釈改憲は立憲主義に反するという一点において、弁護士会は一致している】などと寝ぼけたことをいい、浴衣を着て、短冊を吊るした七夕の笹を持って賑やかにパレードすることが使命と考えている弁護士会の暴走を是非止めてもらいたいものです。

 

圧倒的多数の弁護士は、弁護士会の左翼的政治活動に対して無関心であるか、苦々しく感じているのだと思います。
弁護士会が左翼的政治活動団体でなく政治的中立を保っていたとしたら、国民からもっともっと信頼され、それなりの発言力を持ち、法曹人口の問題も何年も前に解決していたのではないかとさえ思うのです。
国民の反発を食らう弁護士会がいくら法曹人口について意見を述べても反発を食らうだけでしょう。
私は、弁護士が右傾化しているとは思いません。
左翼化した弁護士会を正常化することこそが必要です。

 

弁護士会の政治活動に対して、会の内外からの反響は想像以上に大きいものがあります。
http://ceron.jp/url/www.sankei.com/west/news/150726/wst1507260015-n1.html
このまま弁護士会が政治活動を続けるのであれば、『打倒!弁護士会』の運動が起きてこないか心配です。
(横井盛也)

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弁護士会批判の反響は予想以上 - 弁護士会に政治的中立を求める

これまで3回連続で安保関連法案に関連して弁護士会批判を行った当ブログですが、新聞や他のブログに好意的に取り上げられ、応援や激励のメールをいただきました。
反響の大きさは想像以上です。

 

産経新聞。
<「戦争法廃案」デモ、弁護士会の〝政治活動〟に内部から反旗?
「戦争しないための法案」「政治的中立守れ」 訴訟にも発展>

http://www.sankei.com/west/news/150726/wst1507260015-n1.html
http://www.sankei.com/west/news/150726/wst1507260015-n2.html

http://www.sankei.com/west/news/150726/wst1507260015-n3.html

 

<「平和を愛する弁護士」がブログで反論>の小見出しに続いて、
【「自分の意見と異なる運動のために弁護士会費が使われていることが苦痛でなりません」。大阪弁護士会所属の男性弁護士は7月、6月の野外集会を批判する書き込みをインターネットのブログに掲載した。
会員数約4200人と全国4番目の規模を誇る同会の会費は、原則月額約4万円(日弁連会費含む)。男性弁護士は「私は右翼でも国粋主義者でも民族主義者でもありません。平和をこよなく愛する一般的な普通の弁護士です」とし、思想・信条と異なる内容を理由に、集会を「暴挙であり、人権侵害」とも主張した。
ネットを通じて他の弁護士から「戦争法案反対の活動が個々の会員の思想・信条の自由を侵害すると主張されている弁護士」と言及されると、「問題になっているのは戦争法案でなく、戦争をしないための法案です」と反論した。】
と当ブログが紹介されています。
この新聞記事に関するブログも見つけました。
http://minkara.carview.co.jp/userid/1907569/blog/36123961/

 

産経新聞の記事の中には、
【一部弁護士の間では「弁護士がこぞって法案に反対していると誤解される。会内の合意形成は不十分」として、有志で法案に賛成する声明や意見書を出そうとする動きもある。
取り組みを進めている同会所属の徳永信一弁護士は「法律家として安保法案が一点の曇りもなく合憲とはいえなくても、危機を避けるために政治的に解釈を変える必要性があると考える弁護士は多い」と指摘。
「弁護士会が特定の意見表明をすること自体は否定しないが、全会一致でないということを世間に知らせるべきではないか」と話している。】
といった記述もあります。

 

徳永弁護士のコメントは至極もっともなことで全面的に賛同します。
私は、法案に賛成する声明や意見書を出すといった運動に積極的に加わろうとは思いませんが、これからも気が向いた時にブログで自分の意見は述べていきたいと思います。

 

激励のメールもいただきました。
【初めまして。突然のメール、申し訳ありません。
…感銘を受けました。日本弁護士連合会の公式サイトにも集団的自衛権反対がトップページに記載され、仮に、賛成や支持する人達がみたら、日本の弁護士には依頼をしにくい印象を与えかねず、個人的には不満が募っていました。
…Harvard Law Schoolの憲法及び国際法の教授の意見が斬新でした。

http://www.bloombergview.com/articles/2015-07-16/it-s-ok-for-japan-to-fudge-its-constitution
賛成反対の価値観は個々の自由だとしても、やはり組織として片方を一方的に主張されることは強い懸念が有ります(特に弁護士会は民間企業と異なる存在である為)。
…日本にも貴殿のような弁護士が存在することに安堵致しました。ありがとうございます。】

 

鋭い指摘が含まれています。
弁護士会は様々な思想信条を持つ弁護士が加入することが予定されている団体です。
営利の追求を一丸となって行う民間企業とは違うのです。
弁護士会が国家の安全保障のあり方といった高度な政治的問題について特定の主張をすることは厳に慎むべきです。
(横井盛也)

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常軌を逸した弁護士会 - このままでは弁護士会自治は崩壊確実

Wer mit Ungeheuern kämpft, mag zusehn, dass er nicht dabei zum Ungeheuer wird.
「怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ」
~フリードリヒ・ニーチェ(1844年 – 1900年)「善悪の彼岸」より~

 

大阪弁護士会が7月31日に予定している「安全保障関連法案反対!弁護士による納涼パレード」。
弁護士が浴衣を着て、「反対」などと書かれた短冊を吊るした七夕の笹を持って賑やかに町を練り歩くとのこと。
とても私にはついていけません。

 

横浜弁護士会が7月9日に行ったパレードの様子がユーチューブにアップされています。

マーチングバンドの演奏に合わせて弁護士が奇声を発しながら行進する様を通行人が冷笑しながら眺めているように感じます。

 

このような方法で大衆を扇動するのが弁護士会の役割なのでしょうか。
(横井盛也)

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弁護士会の独善 - 安保関連法案は戦争法案ではなく、戦争をしないための法案です

前回の当ブログについて、猪野亨弁護士(札幌)が
『どうしてこれが会員の思想信条の自由を侵害されるということになるのか、横井盛也氏の見解に疑問』
というタイトルでブログを書いておられます。
http://inotoru.blog.fc2.com/blog-entry-1420.html

その中で私は、「弁護士会の戦争法案反対の活動が個々の会員の思想・信条の自由を侵害すると主張されている弁護士」と紹介されているのですが、大きな誤解であり、恥辱です。
戦争法案であれば、私も反対するでしょう。
私は右翼でも国粋主義者でも民族主義者でもありません。
平和をこよなく愛するごく一般的な普通の弁護士です。
今回問題になっているのは、戦争法案ではなく、戦争をしないための安全保障関連法案です。

 

戦争をしないため、させないための方策について、唯一絶対の正解はありません。
あれば、戦争や国際紛争といった心配など全く不要です。
集団的自衛権によって、他国の戦争に巻き込まれると考えるのか、国際社会における責務を果たしながら強固な抑止力により戦争を事前に防止できると考えるのか、意見が割れて当然なのです。
自民党や公明党の弁護士でもある国会議員らは後者と考えているのであり、弁護士会員の中に同様の考え方をしている人は私以外にも多数いるはずです。

 

立憲主義の考え方についても、単に国家権力を縛るものと考えるのか、その前提として国家の平和的存立と国民の安全を守るという目的をも含めて考えるのか、単純に割り切れるものではありません。

弁護士会で一致するとすれば、平和をより確実にする法案が立憲主義に反するか否かについてではなく、平和を望むというただ一点にとどまるのだと思います。
弁護士会が安保法制のような統治行為論に属する高度に政治的な問題について、立憲主義に反するとして反対運動を行うことは、多様な意見を切り捨てた独善ではないかというのが私の意見です。

 

猪野弁護士はさらに『例えば、安倍政権打倒とかいうことになれば弁護士会での活動の領域外になりますが、戦争法案反対は、まさに弁護士会に与えられた責務です。』、『札幌弁護士会でも7月11日に戦争法案反対の集会を開催しますが、あくまで「安保立法」に反対するというものであり、集会では、「自民党打倒」のようなプラカードは主催者としてお断りとなっています。』と述べておられます。

 

しかしながら、日本共産党大阪府委員会のホームページ。
http://www.jcp-osaka.jp/osaka_now/2107
その記事や写真などから大阪弁護士会主催の集会が政治運動であり、特定政党の党勢拡大や自民党打倒の運動と密接に繋がっているのではないか、との印象を受けてしまうのです。
ますます弁護士会の発言力が弱まるとともに多くの国民の支持を失ってしまうのではないかと危惧するところです。
大衆運動は政党が行えばよいのであって、賛同する弁護士が自由に参加すればよいのです。

 

大阪弁護士会は7月31日にも「安全保障関連法案反対!弁護士による納涼パレード」を主催するようです。
チラシ(案)には、「理事者や憲法問題特別委員会委員が浴衣を着用します!また七夕の笹に短冊をつけて賑やかに練り歩きます!」とあり、「コールの方は、月亭可朝風やラッスンゴレライ風などを検討中」との情報にも接しています。
市民は、弁護士が浴衣を着て、七夕の笹を持ち賑やかに練り歩くことを期待しているのでしょうか。

 

大半の弁護士会員は、このような運動に無関心であるか、それより法曹人口の問題を何とかしてもらいたいと考えているのではないでしょうか。
(横井盛也)

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弁護士会による人権侵害 - 許されない暴挙

会報「月刊大阪弁護士会6月号」にスペシャルレポートとして、同月7日に扇町公園で行われた屋外集会「日本はどこに向かうのか パート3 ~なし崩しの海外派兵を許すな~」(大阪弁護士会主催、日弁連・近弁連共催)の模様が紹介されています。
弁護士や市民ら約4000人が参加したとのことで、参加者が「アカン」と書かれた揃いの紙を一斉に掲げている場面や「集団的自衛権行使容認 反対‼ 大阪弁護士会」と大書された横断幕を持って大通りをデモ行進する場面のカラー写真までもが掲載されています。

 

記事の中には、「いうまでもなく弁護士会は強制加入団体であり、安保法制に対しては会員の間にも様々な意見があるところであるが、閣議決定による解釈改憲は立憲主義に反するという一点において、弁護士会は一致し、それに反対する行動に出たものである。冒頭、松葉知幸会長からそのことについて述べられた。」などといった記載もあります。

 

「閣議決定による解釈改憲は立憲主義に反するという一点において、弁護士会は一致」??―― 寝ぼけたことを言うものではありません。
少なくとも私はそのような意見には与しておらず、
甚だしい誤解による人権蹂躙で激しい精神的苦痛を受けています。
弁護士会員でもある国会議員として現在、自由民主党には高村正彦副総裁、谷垣禎一幹事長ら15人、公明党にも山口那津男代表ら11人がいますが、彼らも今般の閣議決定が立憲主義に反するという意見で一致しているというのでしょうか。

 

立憲主義といえば国家権力を縛るものという単純な考え方をする人も多いのですが、一義的なものではなく、その基底には国家の平和的存続と国民の安全を守るという前提があるのであって、かかる前提との兼ね合いを無視してまで国家権力を縛るものではないというのが私の意見です。

 

個人の意見はどのようなものであっても内心の自由として最大限に尊重されるべきです。
集会は弁護士会ではなく、同じ志を持つ有志が主催すべきです。
いうまでもなく弁護士会は強制加入団体なのです。
統治行為論にも属するような高度に政治的な問題において個人の信条と異なる見解を会員に強要することは断じてすべきではありません。
自分の意見と異なる運動のために弁護士会費が使われていることが苦痛でなりません。

 

少数意見(とは決して思いませんが…)を蹂躙する暴挙であり、人権侵害というほかありません。
(横井盛也)

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