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宮沢賢治「やまなし」-日本の教育レベルの高さに驚愕

二疋の蟹の子供らが青じろい水の底で話していました。
「クラムボンはわらったよ。」
「クラムボンはかぷかぷわらったよ。」
「クラムボンは跳ねてわらったよ。」
「クラムボンはかぷかぷわらったよ。」
上の方や横の方は、青くくらく鋼のように見えます。
………
宮沢賢治の「やまなし」の冒頭部分です。
「小学校の国語の教科書に載っていたアレだ!」と直ぐにピンときました。

文庫本でたった8頁の短編ですが、その難解度は半端なものではありません。
<クラムボンって何者なの?>
<かぷかぷわらうって、どんな笑い方?>

 

次の場面です。
「クラムボンは死んだよ。」
「クラムボンは殺されたよ。」
「クラムボンは死んでしまったよ…。」
「殺されたよ。」
「それならなぜ殺された。」兄さんの蟹は、その右側の四本の脚の中の二本を、弟の頭にのせながらいいました。
「わからない。」
魚がまたツウと戻って下流の方へ行きました。
「クラムボンはわらったよ。」

 

何が何だかわからないのです。
<どうして殺されて死んでしまわなければならなかったの?>
<なぜ殺されるのに笑っていられるの?>
<わからないとは無責任だ!>
<クラムボンを殺したヤツを逮捕しなければ!!>

 

蟹の兄弟の会話に頭がくらくらしそうです。
小学生のときも何が何だかわからなかったけれど、40年近く経った今でも何が何だかよくわからないし、何度読み返しても感動しないのです。
私にとっては、村上春樹や東野圭吾の方が格段に感動します。
豊かな抒情によって高い評価を受ける宮沢賢治。その童話を理解できない私には文芸を理解する能力が欠けているのでしょうか?

 

大学生の娘と中学生の息子に悩みを打ち明けると、2人とも「小学校の国語の教科書に載っていたが、よくわからなかった」とのこと。
いまだに教科書に載っていることに驚き、意味不明との感想に「やっぱり」と妙に納得しました。

 

大人が読んでも理解できない難解な短編を小学生に読ませるとは。
日本の初等教育レベルの高さに驚愕した次第です。
(横井盛也)

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