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格差社会と貧困問題

1月3日の当ブログ
≪「21世紀の資本」トマ・ピケティ――格差社会は拡大し続けるのか≫
http://www.law-yokoi.com/blog/?p=1056

に対する批判的な意見を聞きました。
曰く「勝ち組の驕り。拡大する格差を是正し、貧困層を救済すべきである。」と。

 

私は、勝ち組ではありません。
格差が拡大する社会が良いとも思いませんし、貧困層の増大や深刻化を阻止しなければならないと考えています。
批判は誤解に基づくものです。

 

といってもピケティ理論に懐疑的であることは事実です。
ピケティは、各種データを駆使し、格差社会は進行し今後も際限なく拡大してゆくと説いていますが、そうでしょうか。

 

例えば、世界銀行の発表している「世界の貧困に関するデータ」によれば、過去20年の間に貧困層の割合は多くの国や地域で飛躍的に低下しています。
1日1.25ドルの貧困ライン以下で生活する世界中の貧困層の数は、1990年が 19億人だったのに対して2010年は12億人と激減しています。
http://www.worldbank.org/ja/news/feature/2014/01/08/open-data-poverty

 

「富裕層に富が集積すること」と「貧困層が減少すること」は二律背反ではなく、どちらを強調するかによって格差社会拡大の有無について正反対の結論が導き出されます。
ピケティ理論は富裕層への富の集積についての分析に重心を置き過ぎています。
格差社会を論じる際に注目すべきは、富裕層よりもむしろ貧困層の方であるべきです。

バランスを失した議論に説得力はありません。

 

ところで、日本の「子どもの貧困」は深刻です。
http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h26honpen/b1_03_03.html

平成26年版「子ども・若者白書」(内閣府)によると、「子どもの相対的貧困率は1990年代半ば頃からおおむね上昇傾向にあり,平成21(2009)年には15.7%となっている」、「OECDによると,我が国の子どもの相対的貧困率はOECD加盟国34か国中10番目に高く,OECD平均を上回っている」とのことです。

 

日本国内では世代間の格差こそが問題です。
少子高齢化社会が進展する中、孫の財布をあてにして財政赤字を膨張させるシルバー民主主義を打破すべきです。
若者が安心して子を産み育てることができる社会、そして将来の日本を支える子どもたちが夢と希望を持って成長していける社会を実現することが喫緊の課題だと思います。
(横井盛也)

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