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最高裁の謎-申し込まないと入手できない上告理由書

石造りの城塞のような威容を誇る建物と静謐な礼拝堂を思わせる大法廷。
最高裁は名実ともに日本の司法界のトップに君臨する裁判所です。
「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」(現行憲法81条)。
「下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣でこれを任命する」(同80条1項)。
高裁や地裁などは、権威ある最高裁にとっては「下級裁判所」に過ぎないのです。

 

最高裁は通常、書面審査のみで、口頭弁論が開かれることなど滅多にありません。
上告された側としては、最高裁から「上告提起通知書」と「上告状」が送られてきて(民訴規則189条)、その後2~3か月後に「記録到着通知書」が届くのを待つのみです(同197条3項)。
その「記録到着通知書」は、「原裁判所から下記事件記録の送付を受けました。今後は、当裁判所で審理することになるのでお知らせします。なお、審理する上で書面を提出してもらう必要が生じたときは連絡します」と記載された簡単なものです。
そして、数か月経って忘れた頃に判決書が送られてきて事件は終結するのです。
何がいつ、どう審理されたのかは、まったくもってブラックボックスの中です。

 

上告した側は、上告理由書や上告受理申立理由書の正本のほか被上告人の数に6を加えた数の副本を提出しているはずなのですが、上告された側は、送達用の切手を添付して特別に申し込まないと入手できません。
地裁や高裁とは勝手が違います。不思議です。

 

謎を解き明かすカギは六法全書にあります。
民訴規則198条「…被上告人に上告理由書の副本を送達しなければならない。ただし、上告裁判所が口頭弁論を経ないで審理及び裁判をする場合において、その必要がないと認めるときは、この限りでない」。

 

上告された側としては、どんな主張が出されていてどんな点が審理されるのか知りたいと思うのが普通ではないでしょうか。
上告理由書や上告受理申立理由書くらい当事者に送達したらよいと思うのですが…。
(横井盛也)

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