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座右の銘②

▼…「人間関係は、初めて出会った時の力関係が永遠に続く。君たちが将来、どんなに偉くなっても、僕が教官で、君たちが教え子だったという力関係だけは変わらない。」

司法研修所の教官が最終講義で語った言葉だが、温厚で人間味溢れるその教官の語った意味は、「俺は教官だから偉い」というものでは決してなく、今後とも長幼の序をわきまえることは大切だよ、偉くなったと思って天狗になっては駄目だよ、とユーモアたっぷりに説諭するものであった。

琴線に触れ妙に感じ入ったので、その時の教官の表情や教室内で自分が座っていた位置まで今でも鮮明に覚えている。

 

▼…35年ぶりに小学校の同窓会があった。悪童の極みだった私は、かなり逡巡し躊躇したものの、当時の不行跡を詫びる絶好の機会でもあると考え、出席することにした。

校舎建替えを聞きつけた化学者「ナッカン」が思い出の校舎をもう一度みんなで見ておこうと企画し、持ち前の調査能力で級友の現住所や勤務先を探り出し、手当り次第に連絡してくれた。6年2組の38人のうち集まったのは11人とクラス担任の先生、音楽の先生の計13人。35年間の出来事や近況、当時の思い出話などに大輪の花が咲き、感動的な1日となった。

 

企業の研究者として様々な発明をしている化学者「ナッカン」

数々の映画に出演して舞台でも活躍している俳優「タニヤン」

政府系の銀行の課長をしている「ウメッコ」

数冊の著書を出版し雑誌の連載記事なども手掛ける「ブンガクショウジョ」

世界を股にかける貿易会社の専務「ナガチン」

地元の銀行に勤める「トックン」

酒が飲めないのに酒造会社で営業をしている「シホドン」

旅行会社の添乗員として世界を回っている「キョウタ」

フラワーアレンジメントの教室を大規模に展開している「ハツミ」

夫が小学校の先生をしているという「チエコ」 (以上、順不同)

そして今は弁護士をしているということで皆が驚いた元悪童の私「よっこん」。

担任の「ハルナ」先生は、数年前に定年退職され、悠々自適の生活を送っておられるといい、

音楽の「ウエキ」先生は、音楽教室を主宰しておられるとのことであった。

最初は、誰が誰だかわからないくらい変貌していることにとまどい、皆それぞれに年輪を重ね立派になっていることに驚いた。飲んで話をするうちに、各人に昔日の面影が色濃く残っていることを発見し、さらにまた驚いた。

 

▼…遡ること37年(5年と6年はクラス替えがなかった)。4月のとある朝。教室で、初めて皆が出会った時、ハルナ先生やウエキ先生は我々の先生であり、我々生徒は先生を尊敬していた。我々生徒は同じクラスの仲間としてお互い対等の力関係で、あるときは喧嘩をし、そしてあるときは分かり合った。

卒業から35年、先生に対する尊敬の念、級友同士の対等の仲間意識が瞬時によみがえり、最初に出会った時の力関係が微動だに変化していないことに気づいた同窓会であった。

冒頭の教官の言葉を思い出し、再び感じ入った。

(横井盛也)