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弁護士の日記帳

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シェアリング事務所の提供 究極のアファーマティブ・アクション

「月刊大阪弁護士会1月号」に藪野恒明会長の新春インタビューが掲載されています。

藪野会長は若手会員への支援について、「即独やこれに近い会員にシェアリング事務所を提供することを検討しています」、「事務所開設時の初期投資を支援するということです。」などと述べています。

 

根本から考え方が間違っていると思います。

 

弁護士たるもの、新人だろうがベテランだろうが、独立した自主自立の自由業者として自己責任で業務を行うべきです。

独立するための資金は、イソ弁をしたり、他の仕事をしたりといった自助努力で準備すべきです。

法律事務所に就職できないのであれば、他の職について開業資金を貯め、社会を知ってから弁護士登録すれば済む話です。

経済的に自立できない弁護士を増やすことは、不祥事増加の温床となり、弁護士自治の根幹を揺るがす事態を引き起こす危険すらあります。

弁護士会が率先して経済的に自立できない弁護士の跳梁跋扈を許すような施策を取るべきではありません。

 

裁判官や検察官が増加しない中で弁護士数の激増を放置し続けるのであれば、弁護士自治崩壊の日もそう遠くはありません。

若手会員の支援をどうするのか、法曹志望者の減少をどう食い止めるのか、法科大学院をどうするのか等々、様々な問題が浮上していますが、根源はすべて司法試験の合格者数が適正でないということから発生しているのだと思います。

(横井盛也)

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講演 「受診者とのトラブルへの処方箋」

ある医療関係団体が主催する勉強会で「受診者とのトラブルの処方箋」と題して講演をしました。

わがままなクレーマーやモンスターペイシェントの対応に四苦八苦し、スタッフが疲弊する医療機関は多く、講演後の懇親会でも多くの医療関係者から様々な相談が寄せられ、改めて関心の高いテーマなのだと感じました。

 

「クレームがあった場合、できるだけ早く穏便に解決するために全力を傾注すべきである。YESかNOか?」

 

私は、「NO」だと考えています。

確かに早く解決できるに越したことはありませんが、「できるだけ早く穏便に」とか「臭いものにフタ」という意識が強いとかえって事案を泥沼化させることにつながりかねません。

恐喝まがいの不当な要求には応じないという毅然とした態度を示すべきです。

多少時間がかかっても組織として冷静に対応すべきです。

「誠意を見せろ」は恐喝の常套文句です。

公正公平な解決を目指しましょう。

 

こんなところから始まって、これまでに経験した悪質クレーム事案の解決事例などをお話してきました。

 

ほんの一部の悪質クレーマーに振り回されて本来の業務に支障が出ることだけは、絶対に防がなければなりません。

今後とも微力ながら全力を尽くしたいと思います。

(横井盛也)
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日本国憲法改正について 1

北朝鮮から今まさに核搭載弾道ミサイルが日本に向けて発射されようとしているときに、手をこまねいて傍観すべきなのか、発射基地を攻撃すべきなのか。

答えは明白です。

でも、それが日本国憲法で定めた自衛権の範囲内であるのか否か、そんな馬鹿げた議論が今日に至っても続けられています。

実に嘆かわしいことです。

日本もそろそろ自立した普通の国に生まれ変わるべきです。

 

国防軍を作ると戦争の危険が高まるというのは、警察を作れば犯罪が増えるというのとよく似た空虚な議論です。

ドイツは58回、フランスは27回、イタリアは15回。

第2次世界大戦後、世界の国々は、時代の変化や新たな課題に対応すべく憲法を改正しています。

マッカーサーがホイットニーに命じてほぼ8日間で作り上げた『植民地管理法』を不磨の大典として70年も温存し続けることが、主権国家のあり方としてふさわしいのでしょうか。

 

最も問題なのは、改正手続きのハードルが高すぎる点です。各議院の総議員の3分の2以上の賛成により発議という要件に合理性があるのでしょうか。憲法制定当時の(形式的な)国民の意思でもって、現在ないし将来の国民の意思を厳しく縛ることに正当性や合理性はあるのでしょうか。

間接民主制と直接民主制を程良く調和させるべく総議員の過半数の賛成による発議、国民投票の過半数の賛成を改正要件とすべく96条を改正すべきです。

 

自由民主党が昨年4月に発表した改正草案

www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf

を目下、研究中です。

例えば、その改正草案の第9条の3(新設)には、「国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない」とあります。

 

現行憲法は、前文で「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と宣言し、平和を願い、諸外国の良識を信頼すれば足りるという姿勢です。

主権国家としてあまりに無責任ではないでしょうか。

 

核搭載弾道ミサイルの発射により罪のない善良な一般市民が危険に晒されているようなときに、国が主権と独立を守るために全力を傾注すべきは当然であり、その責務を定めた草案9条の3を是非とも新憲法に盛り込むべきだと考えています。
(横井盛也)
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されどアンケート 統計の功罪

当ブログで1月28日に北村弁護士が、「アンケートなんて」と題して「調査結果などなんとでもなるのです。自分の結論に合わせたい調査結果を探してくることも、自分の結論に整合的な調査結果がでるように調査することもできるのです。」と書いています。

 

世の中には杜撰なアンケートも存在しますし、弁護士会は会員に対し、杜撰なアンケートを頻回に行っていますが、暴論か戯言としか思えません。

まともな会社が統計学的手法を無視したアンケート結果を公表することはないと思います。

調査方法や回収率等を吟味することもなく調査結果が異なることだけをもって、「調査結果などなんとでもなる。」と述べることは、意図的に調査結果を作り出したかのような印象を与えるものであり極めて問題です。

 

少なくとも政府やマスコミが発表している統計や世論調査は、私の知る限り厳密に行われています。

確かに、質問の仕方によって回答が異なってきますし、調査方法によって実態と乖離した結果が出てしまうことがあるといった限界があります。また調査結果の評価については分析する者の主観が入りますのでメディアリテラシーが必要だという点はそのとおりです。

 

例えば、総務省が毎月発表している「労働力調査」。

http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.htm

昨年12月の完全失業者は259万人で前年同月に比べ17万人の減少。完全失業率(季節調整値)は4.2%。前月に比べ0.1ポイントの上昇とされています。

でも、この完全失業率は、実態より低めの数字になるといわれています。

その理由は調査方法

http://www.stat.go.jp/data/roudou/pdf/10.pdf

にあります。

毎月、層化2段階抽出法で選ばれた全国約4万世帯を調査員が家庭訪問して調査票を回収しているのですが、失業期間が長く職探しをあきらめたとたんに失業者ではなくなりますし、調査日の前月の最終週にたまたま臨時の仕事があって1時間でも働くと失業者にあたらなくなるといった事情があるからです。

また、一家の大黒柱が失業すると主婦をしていた配偶者や学生の子らも職探しを始めることで失業率を一気に押し上げるという事情もあり、上記の完全失業率4.2%が社会の実態を正確に反映したものということはできません。

とはいっても完全失業率や有効求人倍率の推移は、政策判断上の重要な経済指標となるものです。「アンケートなんて」というのはもってのほか、「されどアンケート」なのです。

 

ところで、衆院選や参院選の選挙期間中に新聞各社は選挙情勢として、選挙区ごとに例えば「○○氏が一歩リード。△△氏と□□氏がこれを激しく追っている。」といった記事を掲載しています。

私も新聞記者時代に書いたことがあるのですが、世論調査結果をもとにしています。

調査結果は、調査日の各候補の得票率や順位を統計学上有意に示したものです。さすがに調査結果をそのまま掲載することはありませんが、調査結果をもとにした選挙情勢の分析記事を選挙期間中に掲載することが果たして公正な選挙のためによいことなのか疑問に感じています。

 

ちなみに、公職選挙法138条の3には、「何人も、公職に就くべき者(…)を予想する人気投票の経過又は結果を公表してはならない。」といった規定があります。

(横井盛也)
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