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明石歩道橋事故 免訴判決について思うこと

兵庫県明石市の歩道橋事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴された明石署元副署長を免訴とした神戸地裁の判決に対し、指定弁護士が控訴したとのことです。

 

刑事訴訟法337条 【免訴の判決】 左の場合には、判決で免訴の判決をしなければならない。①確定判決を経たとき。… ④時効が完成したとき。

この条文に該当する場合には、そもそも起訴されないため、免訴判決なんて滅多にお目にかかれるものではありません。

 

免訴判決に至るような起訴を強制した検察審査会の強制起訴制度そのものに疑問を感じますし、また、控訴審で破棄される明確な見通しもないと思われるのに検察官役の指定弁護士が控訴したことについても疑問を感じます。

が、それにもまして疑問を感じるのが、裁判の経緯についてです。

 

元副署長は、事故から約9年後の平成22年4月に強制起訴され、公判前整理手続に付された後、平成23年1月に初公判が開かれ、19回の公判期日を経て判決に至ったとのこと。公判では16人の証人尋問と被告人質問が行われたと報じられています。

 

免訴判決を下すのに、なぜこれだけの審理が必要だったのでしょうか。

そもそも免訴の趣旨は、刑を科されることがないにもかかわらず起訴された被告人を早期に裁判から解放し救済することにあるはずです。

そうだとすれば免訴事由(時効成立)の存否、つまり明石署元地域官と被告人との間に共同正犯が成立するのか否かについての審理を先行し、その審理が終了した段階で免訴判決が下せたはずです。

 

裁判所は、刑事裁判で責任の所在を明らかにしたいという起訴議決に配慮したのかもしれません。

でも、刑事裁判を被害者遺族の溜飲を下げるための”劇場”にすべきではありません。

事実の究明や責任の所在の明確化は、被告人に対して適正な刑罰を科するという刑事裁判の目的の範囲内で行われるべきです。

 

結局は免訴になったり無罪になったりするのに市民感情によって強制的に起訴され必要以上の審理を受けさせられる――強制起訴制度は、被告人とされる者に対する配慮が抜け落ちているような気がしてなりません。

(横井盛也)

 

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